株式会社Preferred Networks（本社：東京都、代表取締役 最高経営責任者：西川 徹、以下、PFN）は、PFNグループがフルスクラッチ開発する国産大規模言語モデル（LLM）PLaMo™の金融特化型PLaMo（PLaMo-Fin-Prime）を開発しました。高いセキュリティが求められる金融機関向けに、各社特有の知識を追加学習させ、セキュアなオンプレミス環境で利用できる専用モデルをカスタム開発するサービスを開始します。

金融特化型PLaMo（PLaMo-Fin-Prime）は、金融機関向けLLMとして、日本の金融知識を追加学習したPLaMo-fin-base（2025年1月発表）をベースに、よりユーザーの意図に沿うように動作するための学習（アラインメント学習）を施して、金融の専門性を求められる業務での実用性を高めました。

PFNは、この金融特化型PLaMoを基盤としたAIモデルを企業ごとにカスタム開発する新しいサービスを提供します。金融機関が求めるセキュアなオンプレミス環境で各社の独自データや商品情報、業務フローや社内ノウハウなどを追加学習した専用モデルを利用できるようにすることで、各社が持つ機密性の高い情報を安全に活用しながら、専門性の高い業務の効率化と顧客対応などの品質向上を支援します。

金融特化型PLaMo（PLaMo-Fin-Prime）および各社専用モデル構築サービスの主な特長

国産フルスクラッチ開発で世界トップレベルの日本語性能をもつPLaMoを活用し、金融機関での実務利用に向け、日本の金融知識の追加学習と人の指示や意図に沿った生成性能を高めるためのアライメント学習を実施しています。

１．金融機関の実務に即した高精度な回答と推論能力を実現

• 金融業界独自の言い回しなどを理解して自然で実用的な回答を生成
• 金融規制の解釈、リスク分析、顧客対応シナリオ作成など、専門性が求められるタスクの精度が向上
• 金融分野における知識を問う日本語ベンチマーク「Japanese Language Model Financial Evaluation Harness^*1」で、PLaMo-fin-base、PLaMo 2.0 Primeを超える評価を達成。またいくつかの指標ではGPT-4oも上回る評価に。

Japanese Language Model Financial Evaluation Harness

*オンプレミス環境で尤度（もっともらしさ）に基づいた計測を実施

２．各社独自のデータを追加学習させた専用モデルをカスタム開発

• 業務日報、研修資料、マニュアル、顧客データベース、過去の稟議書、金融商品情報、投資に関するノウハウといった、各社独自の機密性の高いデータを安全なオンプレミス環境で追加学習
• 各社の社内用語、金融商品、顧客情報、組織固有の判断基準、業務フローなどを深く理解した専用AIエージェントを構築可能
• 課題の把握から技術やユースケースの検証、アプリケーション開発、導入、運用、継続的なモデルの改善までPFNの金融チームがトータルで支援

３．オンプレミス環境での利用

• データを一切社外に出さないオンプレミス環境での利用が可能

４．金融およびLLMの豊富な実績を持つPFNの金融チームが導入後の実務応用を支援

• 追加学習によるパラメータチューニング、機械学習・深層学習の最先端技術に基づいたソリューション開発・提供実績多数
• 国内外の学会・カンファレンスでも高い評価を受けているPFNの金融チームが実務応用を支援

（金融特化型PLaMoについての技術ブログはこちら）

金融特化型PLaMoの活用例

• 営業支援・顧客対応の高度化
  • AIチャットボットによる自社商品・サービスへの深い理解に基づく顧客対応
  • コールセンターでのオペレーター業務支援
• バックオフィス業務・リスク管理の効率化
  • 定型フォーマットや過去の事例に基づいた稟議書、契約書等のドラフト自動作成・レビュー支援
  • 各社独自のリスク管理ガイドラインに沿ったリスク分析、規制遵守チェック
  • 社内規定やマニュアルからの情報抽出、従業員向けQ&Aシステム
  • 業務フローに準拠したタスク実行
• 投資分析・商品開発支援
  • 投資判断基準やポートフォリオ戦略をふまえた市場分析、企業分析レポートの作成の支援
  • 顧客層やリスク許容度をふまえた新しい金融商品開発の支援

PFNは今後も金融領域に特化したLLMの研究開発を継続し、金融機関各社が直面する個別の課題を解決し、業務効率化と競争力強化に貢献していきます。

金融特化型PLaMo（PLaMo-Fin-Prime）および専用モデル開発に関するお問い合わせ:
https://www.preferred.jp/ja/contact/

*1：PFNで整備した、日本語かつ金融分野に特化したベンチマーク。金融分野における感情分析タスク（chabsa）、証券分析における基礎知識タスク（cma_basics）、公認会計士試験における監査に関するタスク（cpa_audit）、ファイナンシャルプランナー試験の選択肢問題のタスク（fp2）、証券外務員試験の模擬試験タスク（security_sales_1）の5つのベンチマークタスクで構成されています。言語モデル性能評価のための日本語金融ベンチマーク構築と各モデルのパフォーマンス動向

国産大規模言語モデルPLaMo™について

PLaMo（プラモ）は、Preferred Networksグループがフルスクラッチで開発する国産の大規模言語モデル（LLM）です。独自に構築した日本語を豊富に含む高品質なデータセットで学習することで、世界最高クラスの日本語性能を実現しています。商用版のフラッグシップモデルPLaMo Prime、自動車や製造設備などのエッジデバイス向けに軽量化された小規模言語モデルPLaMo  Lite、学術･研究用途の非商用ライセンスモデルPLaMo-100B‐Pretrained、日本の金融知識を追加学習した金融特化型PLaMo、日本語の翻訳に特化したPLaMo翻訳など、用途に合わせて提供中です。PLaMo Primeはクラウド型API、Amazon Bedrock Marketplace、オンプレミスなどの提供形態があり、国産AI構築プラットフォームmiibo、法人向け生成AIサービスTachyon 生成AI、150以上の自治体が導入するQommonsAIなどのサービスに標準搭載されています。