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ネットワークのエッジで動作する深層学習プラットフォームDeep Intelligence in-Motion(DIMo、ダイモ)v2のβ版先行提供開始のお知らせ

2016.12.28

株式会社Preferred Networks(プリファード・ネットワークス、本社:東京都千代田区、創業者 代表取締役社長:西川 徹、以下PFN)は、ネットワークのエッジで動作する深層学習プラットフォームDeep Intelligence in-Motion(DIMo、ダイモ)v2と、そのアルゴリズムパッケージの一つであるセンサーデータに対する異常検知についてβ版の先行提供(注1)を開始しました。

DIMo v2 β版をご利用いただくにあたり、DIMoの活用提案、導入支援、実証実験支援などにつきましては、業務提携をしている株式会社Ridge-i(リッジアイ(注2)本社:東京都千代田区永田町1-11-28、CEO:柳原尚史)とも連携し、より早く効率的にお客様のビジネス業務へ活用できるよう促進してまいります。

DIMo v2 β版およびアルゴリズムパッケージの利用については引き続き募集をしております。アルゴリズムパッケージに含まれるのはお知らせ時点では以下の機能となります。
・人・物体検出を行うためのコンピュータビジョンパッケージ
・センサーデータ(数値データ)に対する異常検知パッケージ
ご利用については課題の内容を含めて個別に相談をさせて頂いておりますので、ご興味をお持ち頂けましたら最下部の連絡先のメールアドレスか、PFNの問合せ窓口(https://www.preferred.jp/ja/contact)にご連絡下さい。

DIMo v2 は2017/4に正式版を公開する予定です。
これまで提供していた DIMo についても、ポータルを利用するバージョンに徐々に統合していきます。
以下、以前のお知らせに記載した DIMo の説明を再掲いたします。

 


DIMoはPFN製の深層学習(注3)フレームワークChainerと、同じくPFN製のIoT向けストリーム処理エンジンSensorBeeを利用し、ネットワークのエッジで発生するストリームデータに対して直接深層学習を適用します。さらにエッジで動作する深層学習をクラウドから管理・制御するためのコンソールを提供し、エッジやフォグ(注4)で動作する既存のIoT/M2Mプラットフォームと深層学習を簡単に連携させられます。

DIMoはクラウド型の深層学習APIを提供するのではなく、ネットワークのエッジで稼働するデバイスに深層学習のモデルとプログラムを転送し、そのデバイスから発生するデータに対して深層学習を直接適用します。そのため、クラウド型の深層学習サービスと比較して次のようなユースケースに対して有効です:

(1) 低レイテンシが要求される
(2) 分析対象のデータをすべてクラウドに転送するのが難しい
(3) 深層学習の適用頻度が高い

ネットワークのエッジで直接深層学習を実行することのメリットの一つとして、クラウドへリクエストを送ってレスポンスを受けとるのにかかるネットワークの遅延をカットできる点があります。DIMoでは深層学習を直接ネットワークのエッジやフォグのデバイス上で動かすため、クラウド型のサービスと比較して低レイテンシの処理に向いています。

また、IoTの環境ではネットワークの帯域不足やプライバシーの保護などの理由でデータをすべてクラウドに転送するのが難しいことがあります。他にもデータの価値密度が低いためすべてのデータをクラウドに保存することにほとんど意味がないケースも多く、とりあえずクラウドに貯めるというアプローチが常にうまく行くわけではありません。DIMoではネットワークのエッジで発生する映像などのサイズの大きな非構造化データから必要な情報をその場で抽出し、さらに重要な情報のみをフィルタリングしてクラウドに転送できます。プライバシーに関しても処理したデータは永続化する必要がなくその場で破棄できるためより安全な解決策を提供できます。

他にも深層学習をデバイスの制御に利用する際には数ミリ秒単位での推論を求められることがあります。クラウド型の深層学習サービスではAPIの呼び出し回数による課金モデルを採用しているものが多いのですが、高頻度の呼び出しを行う場合には価格が高くなりがちで、シビアな制御に利用することは難しくなります。DIMoではユーザの用意したデバイス上で深層学習を実行する代わりに、学習や推論を含めた実行回数(API呼び出し回数)に制限はありません。

以上はエッジ側で深層学習を利用するDIMoをクラウド型のサービスと比較した際のメリットです。一方で、クラウドがエッジに対して優位な点ももちろんあります。特に、エッジでは大規模なストレージや強い耐障害性を持った計算クラスタを構築することは困難で、クラウドが得意とするような信頼性の高い大規模集計を行えません。そこで、DIMoはすべてをエッジで解決するのではなく、フォグやクラウドが得意とする部分はそちらに任せ、逆にそれらが苦手とする部分をエッジ側でフォローするような相補的関係を構築します。例えば現在のデータベースは構造化データの取り扱いは得意ですが、音声や映像と言った非構造化データを直接効率的に扱うのは現時点ではまだ得意ではありません。エッジで発生する映像データはネットワークの帯域的な問題でクラウドにアップロードしづらいだけでなく、そのままの形でクラウドの分析ソリューションに持って行っても柔軟な分析は行えません。しかし、DIMoを利用することで、ネットワークのエッジにあるカメラの映像をその場で分析しクラウドには通常時はカメラがとらえた物体の情報のみを構造化データとして送信するといった処理が可能になります。

DIMo は次のコンポーネントで構成されます:

* エッジでの深層学習を管理するためのポータル
* 分野毎のアルゴリズムと学習済みモデルのパッケージ
* 深層学習の開発・実験基盤(2017/4以降予定)

アルゴリズムパッケージはβ版では人・物体検出を行うためのコンピュータビジョンパッケージと異常検知用のパッケージを提供します。他にも電力などの需要予測の研究開発を現在進めており、そちらも早期に追加予定です。それぞれのパッケージのアルゴリズムも随時強化され、例えば電力需要予測では将来的に電力最適化アルゴリズムも提供していきます。他にも自律制御向けの強化学習、エッジデバイス同士の自律的なコミュニケーション手段を構築するためのアルゴリズムなども随時追加されます。


 

(注1)以前のお知らせにて提供を予告していたものとなります (https://www.preferred.jp/ja/news/dimo-beta
(注2)株式会社Ridge-i:   深層学習・強化学習などを中心としたAI領域に特化した技術支援、コンサルティング、ソリューション開発、「DIMo」導入支援、実証実験支援などを提供
(注3)多層構造のニューラルネットワークを用いる近年急速に発展した機械学習の一手法
(注4)Cisco Systemsが提唱するクラウドとエッジの中間に位置するレイヤー

 

■ 本件に関するお問い合わせ先
株式会社Preferred Networks
pfn-info@preferred.jp

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