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キュライオとPFN、深層学習と構造解析を用いた創薬の共同研究を開始

2021.04.05

株式会社キュライオ(代表取締役CEO:中井基樹、本社:東京都新宿区、以下、キュライオ)と株式会社Preferred Networks(代表取締役 最高経営責任者:西川徹、本社:東京都千代田区、以下、PFN)は、深層学習と構造解析を用いた創薬の共同研究を4月から開始したことを発表します。

両社は、キュライオのクライオ電子顕微鏡を用いた構造解析技術とPFNの深層学習による分子設計技術を組み合わせ、従来の構造ベース創薬を高速化・高精度化し、これまで創薬が難しいとされてきた標的を含む幅広い創薬標的に対する新規医薬化合物の創出を目指します。これにより、これまで有効な治療法が確立されていなかった疾患に対する治療薬開発などが期待できます。


従来の電子顕微鏡(左)とクライオ電子顕微鏡(右)での分子構造解析の比較
(画像出典:
Martin Högbom/The Royal Swedish Academy of Sciences

クライオ電子顕微鏡*1を用いた構造解析技術は、生体分子の立体構造解析において、現在最も優れた技術の一つであり、2017年にはノーベル化学賞の授与対象となりました。特にクライオ電子顕微鏡による単粒子解析*2は、結晶化の必要がなく、水溶液中での構造が得られるなどの利点があり、結晶化が困難な膜タンパク(細胞膜に埋め込まれているタンパク質)の構造解析などに技術革新をもたらしました。

キュライオは、クライオ電子顕微鏡測定のための試料調製やグリッド作製、3次元構造解析に独自のノウハウを有しており、難易度の高いタンパク質やタンパク質複合体の構造解析に強みがあります。

一方、PFNは、機械学習・深層学習などの最先端技術の実用化を目指しており、医療分野では深層学習を用いた分子設計や、miRNA解析、医用画像解析などに取り組んできました。特に創薬分野においては、タンパク質の構造ベース創薬に着目して研究開発をおこなっています。

これまでの創薬では目的とする新薬候補化合物を見つけるのに莫大な時間とコストがかかっていましたが、分子設計に深層学習を用いることにより、創薬プロセスが大きく効率化・高速化することが可能となります。 

株式会社キュライオ  最高科学責任者(CSO)  小林慶行のコメント

「今回、素晴らしい技術を持つPFNとの共同研究を開始できたことを大変嬉しく思っています。PFNとキュライオが持つ技術を掛け合わせることで、新たな創薬の可能性へ挑戦できると感じています。」

株式会社Preferred Networks ライフ&マテリアルサイエンス担当VP 小林啓之のコメント

「深層学習による分子設計を用いたタンパク質の構造ベース創薬を実現するには、質の高い構造解析データが必須です。今回、クライオ電子顕微鏡による構造解析技術に強みを持つキュライオとの共同研究によって、革新的な創薬技術の研究開発が加速することを期待しています。」

 

*1  液体窒素(-196℃)冷却下でタンパク質などの生体分子に対して電子線を照射し、試料の観察を行うための装置、透過電子顕微鏡をベースとした新手法

*2 液体窒素温度条件下(クライオ)において透過型電子顕微鏡を用いてタンパク質分子の像(写真)を多数撮影し、それらの平均化を行い3次元構造へと再構築する手法

 

株式会社キュライオについて  https://curreio.com

株式会社キュライオは、2019年にクライオ電子顕微鏡による構造解析技術に特化した企業として2019年8月に設立されました。独自の解析ノウハウを用いた世界最高水準の構造解析精度が強みで、現在は構造解析ベース創薬(Structure-Based Drug Discovery)事業を展開しています。「科学の力で、より安心で健康な人生の実現へ」の会社理念の下、人々に画期的新薬を提供する事を使命とし、製薬会社や大学研究室との共同研究も積極的に取り組んでおります。

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