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Vol.45 AIと数学の最前線

僕の話で何回か出てくるテレンス・タオさんという有名な数学者、数学のトップの1人だと思うんですけど、この方がレックス・フリードマンさんのインタビューを受けていて、それが面白かったんでちょっと紹介します。

レックス・フリードマンさんのポッドキャストは、例えばトランプ大統領が出てきたり、イーロン・マスクが出てきたり、最近もGoogleのCEOのスンダー・ピチャイが出たり、なんかすごい人を呼べる人なんですけど。

その方が今回テレンス・タオさんを呼んでいて、「今AIを使って数学を解くっていうような話について、ぶっちゃけどう思ってんの」っていうのを聞いたインタビューですね。

◆数学者の思考法

やはり数学者の考え方っていうのは、物理学者とも、コンピュータサイエンスとも、かなり考え方が違って絶対ありえないみたいなことがないかどうかというのを考えるところが、ものすごい訓練されています。

あとは現実世界にないようなことを考えることによって、そこから現実世界の問題をすごい形で解くみたいなことをする訓練を受けてる人たちです、という話を前半でしています。

インタビューが最初から吹っ飛んでいて、始まって30秒ぐらいで、「針を2次元空間で任意の向きに回転させようと思うと、必要な面積っていうのは無限小にできる」っていうような証明があるらしいんですが、それを3次元でやるとどう難しいのかみたいな話から、そんな一見すると何に使うのっていう問題が、ナビエ・ストークスっていう流体力学の非常に重要な問題につながっている話をしています。

ナビエ・ストークス方程式っていうのは何かというと、流体力学で、水とか波を想像して欲しいんですが、非常にたくさんの細かい粒子が、本当はあるんだけど、マクロで見るとそれが流体としての性質を持っていて、その流体が圧縮されるか非圧縮かみたいなところでまた違うんだけれど、水は圧縮しにくいし、空気は圧縮される、というような、そういう流体の運動を記述する方程式です。

このナビエ・ストークス方程式で賞金がついている重要な問題として、例えば、すごい良いタイミングで水があって、水の分子が全部同じタイミングで同じ方向に向かって動いて、そこで無限に圧縮されて特異点みたいなことが起こせるんだけど、まあ現実世界では起きてないよね、と。

起きてないのはなんでかねっていうところが未解決問題で、それを特殊なケースは解いたんだけれども全部は解けないみたいな話とかが、さっきの針の問題と繋がっているんですが、こういう無限だとか、ありとあらゆるケースを考えることを数学者は訓練されているという話から、そこで今AIが数学分野に進んできていて、特にAlphaProofみたいな、DeepMindがこの前発表したようなアプローチとかで難しい問題にもチャレンジできるようになってるけれども、「ぶっちゃけどうですか」ってお話をしていました。

◆AIによる数学研究の現状と限界

僕が理解したところで言うと、基本数学の問題は、大学に入るぐらいまでのところは、証明ステップってすごく短くて、長くても10とか20ぐらいなんで、そんなにステップ数なく解ける問題は今のAIでいけると。

一方で、本当に数学のフロンティアの世界だと、証明ステップがとんでもなく長いし、各ステップのところで非自明なジャンプをすることがあって、200とか1000ステップとか、とんでもないところからアイデア持ってくるみたいなことになっていて、非常にロングホライゾンの問題を解かなければいけない

例えば重要な数学の問題は数学者が数年かけて証明していくような問題になります。

で、指数的にその解候補空間が広がっていて、「そういった問題はまだまだ解けてない感じはする」という話をしていました。

◆ロングホライゾン問題:AIにとっての核心的課題

このロングホライゾン(何かやってから結果が出るまですごく時間がかかる問題)は、AIにとっても難しくて、まず学習が非常に難しい。

「こういうやり方をしたら証明にたどり着きました」「こういうやり方したら証明にたどり着きませんでした」っていうような結果を考えられた時に、そのすごい長いステップのどこが良かったか、もしくは悪かったかを特定して、そこを修正するっていうことがすごく難しくなります。信用割当問題っていう問題です。

これは、数学以外の一般のロングホライゾンのタスクを解く時にも同じような問題が出ていて、よくチャレンジングって言われてるのは、AIは人間が5分ぐらいで解く問題は解けるけれども、じゃあ30分が解けるかとか、1時間が解けるかとか、1日かけて解くような問題が解けるかと、どんどん本質的に難しい問題になっていくと。

そこでは、人間がやってるのと同じように、問題を抽象化してプランニングして解いていくことをしないといけなくて、それが難しいよねって話しています。

つまり、そういう「ロングホライゾンのタスクを解けるのか」っていうのが、今のAIの残っている結構大きな課題で、それはどの分野でも同じように見られるなって思いました。

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