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Vol.47 AIエージェントと人間の仕事の未来

今日紹介するのはFuture of Work with AI Agentsという論文で、スタンフォード大学が「今AIエージェントが出てきて、それによって世の中の仕事がどう変わるのか」というのを調査した研究です。

AIエージェント化が進む中では、職の消失だとか人間の主体性低下自動化への過度な依存などの懸念があって、いろんな仕事で労働者自身が自分の仕事を「本当にAIエージェントに自動化して欲しいのかどうか」っていうのがかなりバラバラであるということで、それを調べています。

◆調査の概要と方法論

調査はO*NETっていうデータベースがあって、これを元にしてます。これは、先日のAnthropic社の「どういう職種の人がどういうタスクでLLMを使ってるのか」調査したものと同じデータベースで、日本でこれがあるのかちょっとわからないですが、かなり便利なデータベースだと思います。

世の中にあるいろんな仕事に関して、その仕事が実際どういうタスクで構成されてるのかっていうのが分類されています。

例えば、美容師さんだったら、お客さんの予約を取ります、確認します、お客さんの受付します、実際に頭洗います、切りますみたいな、そういうタスクで書かれていたり、営業の人だったら、有望な顧客リストを作ります、実際にアポイントメントを取ります、話しますみたいな、そんな感じでタスクが分けられています。

今回ここを軸にして、1500人の労働者と52人のAI専門家に、844の職務タスクに対して「本当にその仕事AIエージェントにやって欲しいの?」というような希望をまず取ります。

「これやって欲しい」とか「これ別にやって欲しくない」という軸と、そのタスクが今のAIエージェントで解けそうかっていう、その2軸で調べて、WORKBankというのが作られました。

◆タスク自動化への期待と懸念

まず、労働者自身がAIによる自動化を望んでるかどうかを分類して、自動化して欲しいタスクでは、例えば、「もっと高付加価値な仕事の時間を確保したいので、それよりも低価値と思う仕事を自動化したい」というのが多かったり、次に、「タスクが単調で退屈なので自動化したい」とか、あとは「仕事の質を向上したい」といった声がありました。

意外と少なかったのは「ストレスが高いから自動化したい」で、これは10%未満しかありませんでした。

一方で、自動化したくないという否定的な理由としては、「AIの正確さ、能力、信頼性に対する不信感」つまり本当にそれを任せられるのかみたいなのはあって、例えば医療とかそうですが、AIに不信感があると。

2番目がよく言われてる「仕事がAIに奪われることへの恐れ、自分の職を失う」というようなもの。それから3番目は、「AIには人間らしさがないこと」が否定的な理由として挙げられています。

◆タスクの4象限分析

これで全タスクが4つの象限に分けられます。

まず一つ目が「自動化・青信号ゾーン」で、これは自動化への高い希望もあり、しかも実現可能性が高いものですね。これはもう今できそうだし、労働者もやって欲しいと思っているから、もう青信号、行けっていうようなタスクです。

例えば、事務申告補助者の人がやる顧客との予定調整とか、品質管理マネージャーの定期的な品質データチェック、あとは機械エンジニアのドキュメントを読んで解釈する仕事なんかがここに入ります。

次に「自動化・赤信号ゾーン」。これは技術的にはもうできそうなんだけれども、労働者はめっちゃ抵抗して、やりたくないっていうようなタスクです。

例えば、裁判所事務官による議題の準備とか、ネットワークサポーターの新しいハード・ソフトの調査や、ロジスティック調査員による部品の可用性確認などがそうで、これはベンダーとの交渉みたいな人間系のスキルが必要だからかもしれません。

そして「R&D機会ゾーン」。これは技術的にはまだ難しいけれど、自動化してほしいという希望が高いタスクです。これができたら差別化して世の中に出せるので、研究開発としてはいい機会ゾーンですね。

例えば、ゲームデザイナーがやる制作スケジュールの作成やプロトタイプ目標設定、技術文書作成者の資料の配布手配、あとコンピュータ科学者がやりたがらない予算の策定・監視などのタスクが挙げられます。

最後に「低優先度ゾーン」で、これはもうどっちもダメだよっていうタスクです。

例えば、旅行チケット係がやる紛失した荷物の追跡は、AIでは困難だし労働者もまかせられないみたいです。あるいはアートディレクターがクライアントに最終レイアウトを見せる仕事なんかも、本人がやりたい仕事だからここに入るんでしょうね。

◆分析結果の全体像と結論

上の図は実際の象限なんですが、意外とばらけていて、業種ごとにもばらつきがあります。

上の方が労働者が自動化させたいと思っている領域です。やっぱり話題になってるようなアートだとかデザイン、メディアっていうのは、比較的下側にあるかなと。でも、自動化して欲しい仕事自体は結構あります。

あと、研究とか今のスタートアップがどのポジションにいるかっていう分析もしているんですが、スタートアップは結構この4象限にばらけていて、特にさっき言ったような赤信号とか低優先度ゾーンにもスタートアップが結構張っていて、「それ本当にビジネス化できるんですか」っていうようなことを書いていました。

ほとんどの仕事は、「全自動」「完全に人手」っていうよりは、一部のタスクや業務を任せるAIとの共同作業という領域に入っていると思います。

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