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Vol.53 ノーベル化学賞で話題の「MOF」と研究を加速させるMatlantisの役割

先日、Matlantis(AI技術を応用して新素材の探索や開発を高速化するクラウドサービスを販売しているグループ会社)のユーザーカンファレンスを開催したんですが、去年の1.5倍のお客様にお越しいただき、ポスター発表も普通の学会と同じような規模で実施しました。

Matlantisを開発している我々からしても、ちょっと想像を超えるような成果がたくさん出ていまして、3ヶ月ぐらいで実際に物を作った企業様もいました。

そうした中で、毎年Matlantisユーザーカンファレンスでは、狙ってるわけではないのですがノーベル化学賞を発表する日と偶然重なっていて、この時も懇親会のタイミングで「じゃあ誰になるんだろう」という話をしていたら、今回のノーベル化学賞はMOF(Metal-Organic Framework)という材料、有機金属構造体の研究でした。

◆ノーベル化学賞の対象となった材料「MOF」とは

MOFという材料を作ることを確立した、京都大学の北川進先生と、あと2名が受賞されました。このMOFというのは何かというと、有機金属構造体で、穴が空いている物質です。

特徴としては、基本となるような穴が空いた単位要素を作ると、その基本単位が勝手にくっつき合って、ものすごく大きな、中に穴がたくさん空いている構造物になるという特殊な材料です。

◆無限の可能性を秘めるMOF:設計の多様性と応用例

このMOFは非常に注目されている材料です。なぜかというと、これは有機物と金属の2つの構成要素があって、「金属で何を使うか、有機物側でどういう構成にするか」を変えると、無数に色々な特性が出てきます

図はhttps://matlantis.com/ja/calculation/analysis-of-co2-adsorption-dynamics-of-mof-using-neb-method/ より引用

その特性というのは、「輪っかがどれぐらいの大きさになるのか」だとか、「入った上でどういう動き方をするのか」というのが変わるので、作り方によっては、例えば二酸化炭素を回収するような材料になります。

今重要とされていますが、大気中にある二酸化炭素を捉えて、何らかの形でCO₂を固定化して地中に埋めたり、別の材料を作ったりしたいと。その最初の段階の「CO₂だけを特異的にくっつけるようなものをMOFで作る」というのは非常に盛んに研究されています。

この場合はCO₂ですが、色々な他の材料に対しても選択的に回収したり、他の反応を起こしたりできるので、非常に注目されています。

◆MOF研究におけるMatlantisの役割と優位性

Matlantisにおいても、MOFは非常に多くのユーザーに注目され設計に使われている材料です。

お聞きした話では「これを作ったら性能が出るだろうな」と思っても、実際に作るのは非常に難しく、MOFの実験側にも、ものすごいテクニックが必要だそうです。

だからこそ、作る前にあらかじめ絞っておきたいという需要があります。

Matlantisは「じゃあCO₂回収はどれぐらいできるのかな」とか、定性的なところだけでなく、「どんな感じでその穴の中を通過しているのか」とかを見ようと思ったら見ることができる

技術的な話をすると、このMOFは有機物と金属が両方合わさっているので、従来のシミュレーターだと、金属だけとか有機物だけ、というものに対するシミュレーションモデルはあっても、これが混ざり合ったものをちゃんとシミュレーションできるものがない。

このような目的で使えるシミュレーションとしてDFT(Density Functional Theroy)があったのですが、普通に計算すると遅すぎて難しい、スパコンでも1週間から1ヶ月と時間がかかりすぎるという状況に、「Matlantisはちゃんと精度も出てシミュレーションができるし、これぐらい速いと大規模に絞り込みもできるので良いね」という評価をいただき、大規模に利用されているとユーザーの方からお話がありました。

このように注目されているMOFを作った方が、今回ノーベル化学賞を受賞されました。改めておめでとうございます。

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