Preferred Networks

Vol.63 ダボス会議でのAIの未来に関するハサビス氏とアモデイ氏の対談

◆ダボス会議とAI首脳陣の集結

ダボス会議は毎年行われていて、その時の世界中の著名な方を呼んで一堂に会して話します。

今年の目玉は、トランプさんが来て話したことかなと思いますが、これに加えAIに関しても、世界を代表する企業の首脳陣が全員集まって、そこでいろんな話をしたということがあります。

その中でデミス・ハサビスさんとダリオ・アモデイさんは、AIの将来について議論を交わしていて、今日はそれを共有するのと、私の個人的なコメントをします。

ご存知の通り、ハザビスさんはディープマインドのCEOで、Googleの中でGeminiを作っている代表、アモデイさんはアンソロピックの創業者で、Claude側の代表です。

◆AGI(汎用人工知能)実現への道筋と開発の加速

まず、大きい観点として両者ともAGIを実現しようと言っているのは同じなんですが、ハサビスは、5年から10年で達成すると言っていて、アモデイはAIが自らコードを書けるようになったことがAGIの実現に向けて大きいと言っています。

例えばClaudeのCoworkがこの前出て、SaaSの株価が全部20%ぐらい下がったんですが、CoworkはClaude自身が2週間ぐらいで作ったっていうのを言っていて、そういうスピード感でできていて、AGI実現に向けて加速しているという話があります。

これは「コーディング能力を上げるというのは、単にプログラマーの能力、仕事をサポートしたり、置き換えたりするよりも、そもそもAIの進展を加速させるためにはAI自身がコードを書けるようにするのが一番速いだろうという考え方で、コードの能力を一番最初にあげている」というようなことを言ってます。

実際どんどん速くコードが書けるようになって、OpenAIとアンソロピックのいろんな製品群のリリースがますます速くなっていて、結果としてAIの進化が加速するっていうことが起きています。

◆AI進化のスピード感と社会的リスク

AI開発のスピードとリスクに関しては、アモデイは大体6ヶ月から12ヶ月以内にAIがソフトウェアエンジニアの業務のほとんどをこなすようになると予測していて、AIの進化は非常に急速であると警告しています。

一方で、ハザビスはそれよりはもう少し保守的な見方をしていて、まだまだ能力が足りないと。これは意見なので誰も何とも言えない。

ちなみにですが、去年の1月ぐらいに、MetaのザッカーバーグCEOは1年ぐらいでできるんじゃないかと言っていましたが、今できていないので、ここはもう見てみないとわからないと思います。

予想よりできている部分もかなりありますが、まだまだ人がやらなきゃいけない部分は多くあります。しかし、もう使わざるを得ないという状況も出ているし、使うことによって働き方が劇的に変わるだろうということは予想されます。

例えば、先日のある会合でも日本のSIer(システムインテグレーター)の人が「こうしたツールによって私たちの仕事はどう変わるんですか」とか、「そもそもなくなるんですか」とか、そういった議論をしていました。

各社が、自社で作るようになるのか、それともそうは言っても、ソフトウェア開発はほとんどの会社にとって本業じゃないので、それは外に任せて、任された会社がそういうツールを使って自動化し、むしろ大きくなるのか、これは現段階ではわからない。

◆2社の開発戦略の違い

先ほど言った通りアンソロピックは、基本的には「コードの能力を上げることによるAIの進化」を明確にターゲティングしていて、それに対して、ハザビスさん(とその背後にあるGemini)は、「世界モデルを作る」というところをかなり重要視していて、AGIにむけては自身の行動がもたらす結果を予測できる必要があるということを考えています。

そうした中で、先日もGoogleがGenieというモデルを正式に出しましたけど、条件付き動画生成モデルなどを元に、世界モデルを作っていくことを目指しているのかなと思いました。

あとは、アンソロピックのアモデイさんは、この急激な進化によって社会がめちゃくちゃになるっていう予想をしており、かなり厳しい言い方をしている印象があります。「仕事が急速に置き換わっていって、そこでは社会的な混乱は避けられない」というような言い方です。(なお、私の意見でないことは注意してください)

◆AIの思春期と今後のブレイクスルーへの期待

アモデイは、今はAIの思春期だという話をしています。これがどういう意味かと言うと、恋するっていう意味じゃなく、体と精神が釣り合ってない状態なんですね。

人間で言えば、体は成長したけど、心がまだついていってなかったので、アンバランスな状態で大変だっていう話です。

今の社会とAIの関係がそうで、「AIが急速に進歩している中で、社会側が対応できないというところでの混乱が出るんじゃないか」ということを話していました。

おそらく、この混乱は日本が今見てるところよりも、アメリカの方が圧倒的にドラスティックに起きうるだろうと思っています。日本はなんだかんだで保守的で、雇用も守られたり、調和を重んじながら変わっていく。

これに対し、アメリカは、「ここの仕事がAIでできるな」ってなったらバサッと人を切るようなことは過去も行われていて、今後もアメリカはすごいドラスティックに変化していく可能性があると。

それで結果として、アメリカがもしものすごい競争力を世界に対して持ったら、日本とか、変わらなかった国は、どっちにしろその後大変になるので、「アメリカが良くないね、日本がいいね」とかそういう話ではなく、そういう変化に対していろいろ考えなければいけない、ということから逃れられないという話があります。

ここまではハザビスとアモデイが言ったことなんですが、自分の見解を言うと、そこら辺に関しては正直、やっぱりポジショントークはかなりあるなっていう感じは前から思っています。

ある程度のポジショントークで「AIが変える」って言い続けないと、開発に投資してアクセルを踏んでやっていく正当性がなくなるので、そこは、実際に本音で思ってる部分もあるし、周りが思ってないとしても説得していく使命があるからそう言ってるんだと思っています。

一方で、今の進化のスピード、去年と今の状況をみると、1年前の去年の1月はDeepSeekショックが起きたぐらいで、Llamaがまだ4が出るぞ、出てどんなんものかな、すごいのかな、とか言ってたたような時期でした。

それからわずか1年でソフトウェア開発が全部AIに任せられるのではないかというのが多くの人が考えるようになってきた。このように、1年でいろんな変化があったことを見ると、次の1年、5年みたいな観点で言うと、かなりの変化が起きてもおかしくないと思います。

自分は、まだまだブレイクスルーがこれから起きてくると思っていて、今は今の延長線上でやっぱり考えてるんですが、何か次のブレイクスルーが起きたら、今言ってるようなことは大きく変わると思うので、そこがどうなるかですね。

例えばReasoningが出てきたのってまだ2年前で、Reasoningが出る前は「あくまでAIには考える能力ないでしょ」とか言ってたんですけど、今それができている。

そういう観点で、例えば、今どうやって実現するのかわかんないですが解決するとすごい方向として、まず「継続学習」があります。

今の学習に加えて次の学習ができるような仕組みが実現したらいろんな考え方が変わります。継続してそれぞれのパーソナルなモデルとか、企業のモデルっていうのが、どんどん賢くなっていく

今はコンテキストにさえデータを渡せばうまくやるように(インコンテキスト学習)なっていますが、このレベルではない学習をできるようにする。

普通の人が考える「自然にAI学習するってこうでしょう」というのが実現すると、いろんな制約が解けて、逆にそのモデル自体の個別化みたいなところが進んでいくので、いろんなところに影響があるなって思います。

あとは、フィジカルAIっていう話はよくするんですが、その中で、物理世界のデータって桁違いに少ないんですね。

Webのデータとか、動画もYouTubeとかSNSに出てくるデータがすごく大きくて幅広いので効率よく集まるんですが、それ以外のデータが集まらない中で、今と違う方法で桁違いのデータが集まるような仕組みが出てきたら、いろんな状況が変わると思っています。

PFNは新しい仲間を
募集しています

未掲載事例、プロダクト・ソリューション、研究開発についてお気軽にお問い合わせください