Preferred Networks

石油精製プラントで安定的かつ高効率な自動運転を実現

製造業

ENEOS株式会社様

ENEOS_logo

課題

  • 石油精製プラントの熟練運転員の高齢化等による今後の人材不足
  • 人の技量に左右されないプラント安定運転の確立

ソリューション

運転重要因子の常時監視とセンサー値等をもとにバルブ操作を自動で行うプラント自動運転AIシステムを共同開発

成果

人の技量に左右されない経済的で安定的かつ高効率なプラント自動運転の確立により、保安力の向上に貢献。原油処理装置で常時稼働を達成。

ENEOS川崎製油所。運転員が24時間体制で大規模かつ複雑なシステムを監視・操作している。


課題
熟練運転員の将来的な人手不足への対応

原油を精製してガソリン、軽油、ジェット燃料、ナフサ、潤滑油、アスファルトなどの燃料・基材を生産する石油精製プラントは、これらの製品を通じて産業活動を支える重要な社会インフラです。同時に、プラスチックや合成ゴム、溶剤、各種ポリマーなどの原料となるナフサ等を石油化学プラントへ供給することで、日常生活や産業の幅広い分野を支えています。

石油精製プラントでは各装置の温度・圧力・流量・製品性状などを常に適正に維持することが不可欠です。そのため、コントロールルームの運転員が24時間体制で監視を行い、多数のバルブ操作などを実施しています。しかし、石油精製プラントは大規模かつ工程が複雑で、手動操作が運転員の技量に左右されやすく、長年の経験に基づく熟練運転ノウハウが求められる一方、熟練運転員の高齢化に伴う将来的な人材不足が懸念されています。


ソリューション
プラント内装置を自動運転するAIモデルを開発

Preferred Networks (PFN)は2019年にJXTGホールディングス(現在のENEOSホールディングス)と戦略的協業体制を構築し、PFNのAI技術でENEOSのプラント設備の自動制御による最適化とエネルギー資源の効率的な利活用を目指した共同研究プロジェクトを開始しました。この研究では、ENEOSが持つ温度・圧力・流量・製品性状など複数のセンサー値(運転重要因子)とバルブ開閉操作の過去データをAIモデルに学習させ、そのAIモデルが与えられたセンサー値をもとに結果を予測し、バルブを自動で開閉させるプラント自動運転AIシステムを共同で開発しました。
 

 

成果
人の技量に左右されない経済的で安定的かつ高効率な自動運転を実現

2021年12月には、タイヤの合成ゴムなどの原料に用いられるブタジエンを抽出する装置で、25個の運転重要因子から12個のバルブ操作を2日間連続自動運転する実験に成功しました。本取り組みでは、手動操作時に比べ、AIによる自動操作時は外気温変化、天候(降雨)、冷却水温変化、原料性状変化などの各種外乱下 でも安定的に制御できるため、運転重要因子を目標値により近い値で制御が可能なことがわかりました(下図参照)

プラント自動運転AIシステム稼働前後の運転重要因子(製品性状値)の制御性

PFNとENEOSは、AI技術による石油化学プラント自動運転の成功を受けて、2024年5月に原油処理を行う常圧蒸留装置の自動運転の開始を発表しました。常圧蒸留装置は石油精製プラントの最上流に位置する大規模な装置であり、自動運転のスコープとなる入力センサー数は930個、運転重要因子は24個、操作が必要なバルブは13個に及びます。特に、原油処理量の変更や原油種の切り替え時の変動調整作業は非常に複雑ですが、プラント自動運転AIシステムは手動操作を超える経済的で安定的かつ高効率な運転を達成しました。

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