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PFNの深層学習用スーパーコンピュータMN-3、39.38GFlops/Wの電力効率を記録しGreen500ランキングで3度目の世界1位を獲得

米国で開催中のSC21でMN-Core2(仮称)を含めたプロセッサー開発計画を公開

2021.11.16

株式会社Preferred Networks(本社:東京都千代田区、代表取締役 最高経営責任者:西川徹、プリファードネットワークス、以下、PFN)と国立大学法人神戸大学(本部:神戸市灘区、学長:藤澤正人、以下、神戸大学)は、 PFNのMN-3が、39.38 GFlops/W*1(1W・1秒あたり393.8億回の演算)の省電力性能を実現し、本日(日本時間)発表された最新のスーパーコンピュータの省電力性能ランキングGreen500*2において2020年6月、2021年6月に続く3度目の世界1位を獲得したことを発表します。これは、2021年6月のGreen500リストにおけるMN-3の記録29.70 GFlops/Wを32.59%上回るものです。

また、PFNは、米国ミズーリ州セントルイスで開催中のスーパーコンピューティングの国際学会SC21に出展(展示ブース番号:#1521)し、深層学習用プロセッサーMN-Core™の後継となるMN-Core2 (仮称) を含めた今後の開発計画を公開しています。MN-Core2は、現在PFNと神戸大学が開発中で、その心臓部となるASIC(application-specific integrated circuit、特定用途向け集積回路)の性能評価を開始しています。PFNは、2023年中を目標にMN-Core2搭載のスーパーコンピュータを構築する計画です。

MN-3

今回の測定に使ったシステムは、MN-3全体のうち32ノード、MN-Core128個です。MN-Coreは2020年5月の運用開始から同一のものを使用していますが、ソフトウェアによる制御のさらなる効率化、MN-Core同士を相互接続する専用インターコネクト(計算機ノード間を結ぶネットワーク)の改善などにより、前回(2021年6月)と比較して、計算能力が19.70%、電力効率が32.59%と飛躍的に向上しました。

PFNはHPL (High Performance Linpack) ベンチマークにおけるMN-3の性能向上と並行して、MN-Core専用コンパイラの開発など、MN-3を活用した、より実用的な深層学習のワークロードの高速化を進めています。ハードウェアとソフトウェアの両面から開発を進めることで、画像認識や材料シミュレーションなどPFNの様々な研究開発にMN-CoreおよびMN-3を活用し始めています。

今回の測定に使ったシステム構成および演算性能は次の通りです:

https://www.top500.org/system/179806/
(リンク中のCores: 1,664の内訳はMN-Core 128個、Intel Xeon CPU 1,536個です。HPLベンチマークでは主にMN-Coreが演算を担当しています)

MN-3およびMN-Coreについて

MN-3は、PFNと神戸大学が共同開発した超低消費電力の深層学習用プロセッサーMN-Core™を搭載し、PFNが構築した深層学習用スーパーコンピュータです。PFNは、2020年5月にMN-3の試験稼働を開始し、継続的にシステムの効率化、高性能化を目指してソフトウェア群の開発に取り組んでいます。

株式会社Preferred Networks 執行役員 計算基盤担当VP 土井裕介のコメント

「MN-Coreの設計思想は、ソフトウェアでハードウェアの力を最大限引き出す、そのためにソフトウェアで最大限制御可能なハードウェアを作る、というものです。TSMC 12nmプロセスで作られているMN-Coreは、従来の12nmのハードウェアでは考えられないほど引き出せる計算力のポテンシャルが高く、ソフトウェア側の工夫のしがいがあることがわかりました。PFNの持つソフトウェア技術力を結集し、今後もMN-Coreおよびその後継となるMN-Core2の開発を進め、深層学習技術による各種産業への貢献、およびその計算過程のグリーン化に取り組んでまいります。」

Green500_Certificate_202111

(参考URL)
Green500リスト:https://top500.org/lists/green500/list/2021/11/
TOP500:http://www.top500.org/
PFNのスーパーコンピュータについて:https://projects.preferred.jp/supercomputers/ 

*1:プログラム実行において、1Wの電力で実行できる浮動小数点演算回数(単位は1秒あたり10億演算)であり、省電力性能の目安となる。

*2:これからのスーパーコンピュータはエネルギー効率が最重要である、という見地から、2005 年に始まったプロジェクト。バージニア工科大学の Feng 教授を中心とするグループが 2007年11月から年 2回発表している。対象となるのはHPLベンチマークでTOP500 にランク入りしたシステムで、演算性能/消費電力比で順位が決まる。

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